「資金繰り表を“武器”にする:再生現場で通用する実務作法」
- yuyajellybean
- 5月16日
- 読了時間: 2分
はじめに
事業再生の現場で、最初に見るのは財務三表ではなく、資金繰り表です。理由はシンプルで、「キャッシュが尽きた瞬間に、会社は止まる」からです。
しかし、多くの中小企業が誤った資金繰り表を作成してしまい、再生支援機関や金融機関との交渉に失敗しています。今回は、再生支援の実務現場で本当に使える資金繰り表の考え方と活用方法について解説します。
1. 「資金繰り表」が単なる“帳票”で終わっている現実
中小企業でよく見かけるのが、税理士が作ったExcelテンプレートをそのまま使っている資金繰り表。形式上は揃っていても、未来の資金ショートに気づけなければ意味がありません。
資金繰り表は「過去の管理」ではなく、「未来の可視化」にこそ意味があります。特に、再生局面では**“あと何ヶ月もつのか”**が明確に分かるものになっていなければ、まったく交渉の武器になりません。
2. 「毎月の資金繰り表」は必須
最低限、次の2点を備えていることが重要です:
「月次ベース」で1年分(可能なら24か月)
BS項目との連動性:例えば「借入返済額」や「税金支払月」が反映されていること
さらに、以下のような“プロが見るポイント”を押さえておくことで、説得力が高まります:
チェック項目 | なぜ重要か |
売掛・買掛の回収・支払サイト | 運転資金のズレが可視化される |
借入金のリスケジュール反映 | 金融支援の要否が見えてくる |
手元資金の下限設定 | いつ資金ショートするかが明確になる |
3. 金融機関に提出するなら、「見せ方」も重要
資金繰り表をそのまま印刷して提出するのはNGです。私たちは以下の構成で「金融機関向け資料」を作成します:
表紙(支援目的の簡潔な説明)
収支前提の要約(売上仮定、外注費変動、販管費調整 等)
月次資金繰り表(収入・支出・差引・累積キャッシュ)
コメント欄(各月の山場・補足)
この“説明付き資金繰り表”があるだけで、信金や地銀の印象が大きく変わります。
まとめ
再生支援の第一歩は、「武器になる資金繰り表」をつくることです。作る側も、読み解く側も、そこからすべての改善ストーリーが始まります。
「作って終わり」ではなく、資金繰り表を使って未来を語ることができるか。それが、経営再建におけるプロの視点です。
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